こんにちは。このブログの管理人のゆいおです。
2017年の保育士試験の筆記を、一カ月の独学で一発合格しました。
今回は保育士試験(筆記)の受験科目である「保育の心理学」の勉強法・試験のポイントについてご紹介します。
《目次》
2017年前期の出題傾向とは?鍵を握るのは「発達」の問題!
勉強・試験のポイントを確認するために、まずは2017年前期の出題傾向を見てみましょう。
全20問の出題傾向は以下の通りです。
- 保育所保育指針の穴埋め(「子供の発達」×2・「保育の内容」×1)について 3問
- 生涯発達について 1問
- 幼児発達の重要人物・主張について 4問
- 乳児の反射・反応について 2問
- 子供の社会性の発達について 3問
- 幼児の認知発達について 1問
- ケース問題 3問
- 乳幼児のアセスメント・アタッチメントについて 1問
- 児童虐待について 1問
- 乳幼児の身体の発達について 1問
こちらを見て、やたら発達発達と書いてあると思いませんか?
そうです、この科目の重要ポイントは新生児期~老年にいたるまでの「人の発達」についてなのです。
科目名は「保育の心理学」ですが、「人の発達」について勉強する科目だと思ってください。
他の科目と比べて「保育の心理学」の難易度は?暗記していないと必ず落ちる
難易度は高くありません。
受験科目9科目の中でも、最も合格しやすい科目の一つと言っていいでしょう。
その理由は以下の通りです。
- 問題文が単純で読みやすく、読み込む必要がない
- ほとんどの問題が発達について問う問題なので、勉強ポイントが絞りやすい
- 発達についての重要人物、「ピアジェ」「ギブソン」「ヴィゴツキー」「ゲゼル」「ボウルビィ」「バルテス」が頻出する
- 「保育所指導指針」などの穴埋めも発達等の知識があれば解ける
出題範囲も社会福祉等に比べると狭く、特に子育てをしたことがある方にとっては一度は聞いたことがあるような情報ばかりの勉強しやすい科目です。
また、内容が「子どもの保健」とかなり重複しますので2科目分まとめて勉強することができます。
…ただし。
勉強のポイントはハッキリしているものの、その勉強ポイントを暗記していないと全く問題は解けません。
保育士試験の科目の中には、常識的感覚で回答できる科目もありますが、この科目はそうではありません。
暗記さえすれば必ず受かる科目ですが、逆に言えば暗記していないと「ギリギリ合格」もなく、スッパリ落ちます。
勉強ポイントはとにかく「発達」!絶対に覚えるべき内容!
「発達」と一言で言っても、身体的発達・心の発達・社会性の発達・生涯発達など内容は多岐にわたっています。
その中でも絶対に覚えておきたいのは以下の項目です。
- 赤ちゃん、幼児の各月齢・年齢での身体・運動・言葉・感情の発達過程
- 愛着の発達(アタッチメント)
- 子供の発達過程での仲間との関わり
- 生涯発達
- 発達過程の重要人物とその主張内容「ピアジェ」「ギブソン」「ヴィゴツキー」「ゲゼル」「ボウルビィ」「バルテス」
では上記の項目がどのような内容のことを指しているのか、過去問と共に見て行きましょう。
1.赤ちゃん、幼児の各月齢での身体・運動・言葉・感情の発達過程
こちらは2017年前期の問題です。
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次の文は、乳児の身体・運動の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳児の運動機能の発達は、頭部から足部へ、身体の中心部から末梢へ、粗大運動から微細運動へという方向性と順序がある。
B 一般的に、平均体重は2,900~3,000g前後、平均身長は49㎝前後で生まれるが、生後1年で体重は3倍、身長は1,5倍になる。
C 生後8カ月になると、物と物を打ち合わせる、物を容器に入れる、小さい積み木を高く積み上げることができるようになる。
D 手に触れたものを握ろうとする把握反射が新生児に見られ、生後3カ月になると指さしが出現する。
組み合わせ
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
答えは2。
問題文のA:○ 記述の通りです。
赤ちゃんの発達は頭部から始まり、徐々に末端に広がっていきます。そのため、首すわり→腰すわり→たっち→あんよと順にできるようになって行くのです。
また、身体・運動の発達は胎児期から準備される原始反射※→バランス感覚へと発達する、そして移動運動(粗大運動)→協調運動(微細運動)へと発達します。
※原始反射:把握反射(ダーウィン反射)・バビンスキー反射(足裏反射)・吸啜反射・モロー反射(抱き着き反射)・緊張性頭反射
問題文のB:○ 記述の通りです。
この問題文Bの「一般的に平均体重は2,900~3,000g前後、平均身長は49㎝前後で生まれるが、生後1年で体重は3倍、身長は1,5倍になる。」はそのまま暗記して下さい。
赤ちゃんの生まれた時の身長体重・1年後の身長体重は「子供の保健」の科目でも登場しますので覚えて損はありません。
更に付け加えると、身長は生後4年で約2倍に、12年で約3倍になります。
問題文C:×
生後8カ月でできる運動は以下の通りです。
粗大運動:一人で座る、這う。
微細運動:親指、人差し指、中指で物をつかむ。
この問題のポイントは「小さい積み木を高く積み上げる」と言う文章です。積み木を積むことは発達の目安としてよく用いられており、
「積み木を2~3個積める」ようになるのは1歳~1歳半、とされています。
「小さい積み木を高く積み上げる」となると、沢山の積み木を積んでいそうです。そうなあると、8カ月ではまだ出来ないので答えは×。
問題文D:×
問題文の「手に触れたものを握ろうとする把握反射が新生児に見られ」は正しい内容です。しかし「生後3カ月になると指さしが出現する。」の文章は×。
生後3カ月~4カ月の運動機能は以下の通りです。
粗大運動:首が座る。腹這いで顔を持ち上げ、肩を床から離す。
微細運動:物に手を伸ばす。
生後3カ月では物に手を伸ばすことはできても、指先を器用に動かすことはできません。よって、答えは×。
上記の他にも、以下の内容は覚えておきましょう。
・言葉の発達
生後一カ月~:クーイング
4カ月~:喃語
6カ月~:反復喃語
1歳頃~:初語・一語文
1歳半~:二語文
2歳頃~:語彙爆発
3歳以降:外言から内言
・感情の発達
乳幼児時期:未分化であり、始めは「快」か「不快」のみ。そこから喜び・怒り・恐れなどが分化し始める。
1歳半頃:「自分」を意識し始める
2歳ころ:自己意識が高まり主張が強くなる(自己主張)
集団生活では欲求を我慢できるようになる(自己抑制)
4~5歳頃:自己主張が落ち着く
6~7歳頃:自己抑制はこの頃まで成長し続ける
2.愛着の発達(アタッチメント)
以下の問題は2016年前期の問題です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の文は、アタッチメント(愛着)の形成についての記述である。
適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳幼児は、親との分離、見知らぬ人、見知らぬ場所、けがなどを体験したときなど、特定の養育的他者(愛着対象)に近づいて安心感を得ようとする。この行動傾向を愛着と呼ぶ。
B 愛着は、乳幼児期に形成されるが、成人期に愛着は働かないため、成人は愛着行動は示さない。
C 生後2、3カ月において、特定の愛薬対象が明確である。
D 乳幼児との安定した愛着関係を形成するためには、でき得る限り身体的に接触していることが望ましい。
組み合わせ
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×
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答えは3。
A:○ 記述の通り
アタッチメント(愛着)とは、「人が特定の身近な親しい人との間に結ぶ情緒的な関係のことです。ボウルビィ・ハーローらのアカゲザルの実験でその重要性と発達の段階を示したことで知られています。ボウルビィの愛着理論の内容は必ず要確認です。
B:×
愛着形成は多様かつ多層的なもので、成人期にも見られます。
問題文を読むだけでも、言いきる語気が強すぎて×っぽいなぁという予想がつきます。
C:×
特定の愛着対象が明確になるの生後6カ月~8カ月頃と言われています。
D:×
安定した愛着関係の形成には身体的接触の有無にかかわらず応答で情緒的なやりとりが最も重要です。
3.子供の発達過程での仲間との関わり
以下の問題は2016年後期の問題です。
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次の文はパーテン(Parten,M.B)による子どもの遊びの分類に関する記述である。A~Dに当てはまる用語を[語群]から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 他の子どもと一緒に同じ活動に関わる。
B 自分は遊びに参加せず、仲間が遊んでいる様子を眺めたり、口をだしたりする。
C 他の子どものそばで同じような遊びをしているが、互いに交渉はしない。
D 共通の目的をもって、他の子どもと協力したり、役割を分担したりする。
[語群]
ア 協同遊び
イ 傍観遊び
ウ 平行遊び
エ 連合遊び
オ 連携遊び
カ 模倣遊び
組み合わせ
A B C D
1 ア カ ウ オ
2 エ イ ア カ
3 エ イ ウ ア
4 オ イ ウ ア
5 オ カ ア ウ
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答えは3。
(Aーエ:連合遊び、B-イ:傍観遊び、C-ウ:平行遊び、D-ア:協同遊び)
パーテンの遊びの分類は頻出します。以下の年齢と遊びについて覚えましょう!
2歳頃まで:一人遊び
2歳半頃:傍観
3歳頃:平行遊び
4歳頃:連合遊び
5歳頃:協同(共同)遊び
その他、児童~青年集団として以下のグループについてもまとめて覚えておきましょう。
・ギャンググループ:
小学生頃の男子の特徴的な集団。一緒に同じ遊びをしあり、ルール破りをすることで一体感を得る。
・チャムグループ:
中学生頃の女子に特徴的な集団。同じ趣味や関心、共通点・類似点を確認し合うことで一体感を得る。
・ピアグループ:
高校生以降に見られる集団。お互いの価値観や理想を議論し、ぶつかり合う中で異質性を認め合う。
4.生涯発達
ライフサイクル・ライフステージ
5.発達過程の重要人物とその主張内容「ピアジェ」「ギブソン」「ヴィゴツキー」「ゲゼル」「ボウルビィ」「バルテス」
→各重要人物の主張を必ず覚えましょう!
まとめ
何度も書きますが、「保育の心理学」は比較的簡単な科目です。
暗記すれば受かります。
そして、「保育士試験(筆記)を独学1ヶ月で一発合格する勉強法! - 息子育児のために勉強した事を色々まとめたブログ」にも書いた通り、過去問をひたすら解けば、覚えようとしなくても暗記できます。
だから暗記が苦手な方でももちろん大丈夫!!
保育士試験の筆記で一科目でも多く合格するために、この「保育の心理学」は是非押さえて行きましょう!
保育士試験初日、第二科目目の「保育原理」の勉強法、試験の出題傾向はこちらです。引き続き、勉強の参考にご覧ください↓